
キレイゴトが聞きたいわけじゃない
読書が好きな私が、有名人が出した本を選ぶ時の基準は、「キレイゴトが書いてあるものではなさそうだ」ということです。
キレイなタレントさんやオシャレな方々の、右から左に抜けてしまうようなキレイゴトしか書いていないビジュアル・イメージ重視の本ではなく、「よりホンネで、より泥臭く、より現実的な本」が好きです。
非現実的なものはフィクションの世界に別途求めるので、生身の人間の話を読む時は、「キレイゴトの裏側」にまで切り込むような内容だと、読み応えがあって楽しいと感じます。
そんな私が思う、「よりホンネで、より泥臭く、より現実的な本」を1冊ご紹介します。
ウドウロク [ 有働由美子 ]
このエッセイを書くにあたって、編集者から何も要求されず、好きなことを好きなように好きな字数で書いてくださいと言われたが、「あの~、わき汗についてはぜひ」と、言われた。
四十をすぎて、曲がりなりにもNHKのアナウンサーとして存在しているのに、一番の形容詞が”あのわき汗の”有働、というのがどうなのかと憂うばかりだが、どこに行っても、言葉に窮すれば、「いや~、わき汗が出ちゃいます」と言うだけで、ウケたり許しもらえたりするのだから、これはもう許容するしかない。
まあ、自分発信でいうのはよいのだが、居酒屋などで見知らぬおっさんから、「わき汗、出ちゃってる?」とか声をかけられると、「なんで見も知らぬあなたに言われなあかんねん」と思うものの、看板となって一人歩きしてしまった以上、いまさら、わき汗へのお詫びや訂正を求めることもできない。
生放送で
- 進行を忘れて号泣
- ワキ汗がバッチリにじみ出てしまう
- つけまつげが剥がれ落ちる
などなど、伝説がたくさん。
NHKの看板アナウナーでありながら、飾らない人柄で、見る目が厳しい主婦層にまで絶大な人気を誇る、有働由美子さんのエッセイです。
本の中でもやっぱり、彼女は「等身大」。
仕事の話からプライベートな話まで、最初から最後まで笑えたり・泣けたり・共感できたりと、とても感情曲線忙しく、2度3度と読みたくなる本なのです。
何度も読みたくなる理由

なんでこんなに何度も読みたくなるのだろう?
と考えてみると、それは、この本、自己開示力がハンパないからだろうという結論に至りました。
人は、他人の、
- かっこ悪いところ
- ダメダメなところ
- ゲスいところ
- 弱いところ
を、本能的に知りたがる生き物。
彼女は、この本の中で、良い話・カッコイイ話と同じくらい、普通の人ならひたすら隠したがるダメなところや腹黒い部分を、余すことなく書いています。
私たちの、クロい、「知りたい欲」をとても満たしてくれているのです。
「人間ぽさ」が溢れ出ている文章には、好感しか持てません。
男性のようなロジカルな文章の中に、女性らしさがにじみ出ていて、きっと、どんな人も、この本の中のどこかのページで、共感ポイントを見つけられると思います。オススメです!